一般的に金属やコンクリートなどの無機質な材料は、新しいときほど性能が高く、時間を経るにつれ劣化していきます。
その点、木材は、ある時期まで時間の経過とともに曲げや引っ張りなどの強度が徐々に高まっていくという性質を持っています。
また、木は細胞の働きによって、水分を放出したり吸収したりする調湿機能を持っています。
これにより、結露をおさえ、家の中を快適に保ちます。
木の種類によっては、殺菌作用の強いものもあり(ヒノキ・ヒバ等)、人間の健康にも直接役立っています。
そうした木材の特徴を活かした工法が、日本在来の木造軸組工法(以下、在来工法)です。
構造の基本は、柱と梁と筋かいで、タテ・ヨコ・ナナメから建物を支えます。
その構造をいっそう強化するため、最近は筋かい入りの耐力壁を多く用い、バランスよく配置して、耐震性・耐風性を飛躍的に高めることが普通になっています。
柱と梁のシンプルな軸組構造は、設計の自由度の高さというメリットを、この工法に与えています。
この特徴によって、狭くて変形している、あるいは傾斜しているなどの不利な敷地条件でも家が建てられます。
しかも、窓などの開口部を大きくしたりすることも、他の工法より簡単に出来ます。
また、子供の誕生・成長・結婚・親との同居といった暮らしの変化に対応して、増改築が自在に行えます。
土台と柱・梁・筋かいの結合部は、仕口(凹凸)を組み合わせていくため、この仕口を正確にかみ合わせることが、住宅の耐久性に大きく関わってきます。
熟練した大工さんの高度な施工技術が必要とされます。
もちろん、木材を工場で精密に加工したり、接合部分に金具を使って補強するなどの工夫で、大工さんの技術に負うところを減らす努力も重ねられている現状です。
とは言え、工法の性質上、新築にあたっては良い施工業者を見つけることが重要です。
木材より強い集成材が開発されたのも、見逃せないポイント。
見た目の美しさや肌触りなど、木材の良さを活かしつつ、引き板や小角材などを接着技術で一体的に集成加工した改良木材です。
強度に富み、ひずみや狂いも少ないうえ、防腐・防虫効果も高いといった特徴を持っています。防虫と言えば、基礎工事前に土中の防虫処置をし、防虫処理土台の使用によって、白蟻の被害を防ぐ手立ても講じられるようになりました。
最後は耐火性。木材は燃えやすい素材ですが、中まで一気に燃えてしまうわけではありません。
表面が焦げる程度で、内部は残ります。角材は太く、板材は厚くすれば、つまり断面の大きい木材は燃えにくいといっても間違いではありません。
また、台所などの火を使う場所では、壁や天井に燃えにくい材料を使ったり、隣家と接する外壁には不燃材を使用すれば、想像以上に耐火性を高めることができます。
※資料 茨城ハウジング情報誌「茨城の家づくり」(広報社)より
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