組合関係Q&A









1.代表理事の変更登記について
2.法人役員の組合理事が同一法人のほかの役員と組合理事を交替することについて
3.理事と組合の関係について
4.定款変更の効力発生時期について
5.定款変更の総会決議について
6.通常総会の招集について
7.組合員が破産宣告を受けた場合の法定脱退の時期について
8.支店又は営業所が地区内にある場合の組合員資格について
9.組合名称のローマ字による登記
10.行方不明になった組合員の出資金の処理について
11.理事の死亡に伴う後任理事の選任について
12.組合員死亡の場合における相続人の地位


1.代表理事の変更登記について
当組合は今期役員の全員が任期満了となり役員選挙をおこないました。その結果、代表理事が再選されましたが代表理事に変更がなかった場合には変更登記は行わなくても良いのですか?
中小企業等協同組合法第84条第4項第4号では組合の設立登記事項として「代表権を有する者の氏名、住所及び資格」が規定されており、また、同法第85条第1項によればこれら登記事項に変更が生じたときは変更登記をしなければならないとされています。同法第36条で理事の任期は2年以内、監事の任期は4年以内において定款で定める期間とされています。したがって、任期が満了すれば当然資格を喪失することとなりますので資格の変更となり、たとえ代表理事に同じ人が選出されても代表理事の変更登記を行うこととなります。

2.法人役員の組合理事が同一法人のほかの役員と組合理事を交替することについて
組合員たる法人の役員が、当協同組合の理事に選任されていましたが、当該法人の他の役員に理事を交替する必要が生じました。何ら手続きを経ず、そのまま理事に交替することができるのですか?
理事の選任は、中小企業等協同組合法第35条の規定により、必ず総会において選挙または選任しなければならないので、それによらない理事の交替は法律に違反します。理事は、組合員たる法人を代表しているのではなく、個人として、組合との委任契約により、公平な立場から組合の業務執行の決定に参画することとなります。したがって、理事が組合員たる同一法人の他の役員と交替するということは、理事本来の趣旨からいってもできません。

3.理事と組合の関係について
理事と組合との関係は、民法第643条の委任によるものですか?
中小企業等協同組合法第35条の3により、組合と役員(理事又は監事)との内部関係は民法上の委任関係に関する一連の規定が適用されます。 したがって、組合と理事との関係は、当然に民法第643条(委任関係の成立)の規定によるところになります。

4.定款変更の効力発生時期について
中小企業等協同組合法第51条第2項について「定款の変更は、行政庁の認可を受けなければならない」と規定されていますが、変更した場合、その効力の発生時期は、認可を受けたときとなりますか、それとも組合が決議をしたときに遡及するのですか?
定款変更の効力は、行政庁が認可をしたときに発生し、組合が定款変更を決議した時には遡及しないものと解します。なお、効力発生時期をさらに厳密にいえば、定款変更の認可は行政処分であるから、行政庁において決議を終わった日または認可書を作成した日に効力が発生するのではなく、認可をあったことを組合が知り得たとき、すなわち認可書が組合に到着したときから効力が発生することとなります。

5.定款変更の総会決議について
本組合では次の通常総会で定款変更の決議を行いたいと考えていますが、この際の注意点を教えてください。
定款変更は中小企業等協同組合法第53条により特別議決によることとされています。通常総会には総組合員の半数以上が出席し、その議決権の2/3以上の多数によらなければ可決されません。

6.通常総会の招集について
本組合の通常総会は意見活発により1日では終了しない場合があります。この場合は、当日あらかじめ次回の日程を決定し、会日の10日前までに開催招集をしなければならないのですか?
ご質問の通り中小企業等協同組合法第49条によれば「総会の招集は、会日の10日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあつては、その期間)前までに、会議の目的たる事項を示し、定款に定めた方法に従ってしなければならない」とされていますが、同法第53条の3では総会で続行の決議をした場合には同法49条(総会招集の手続)の規定は適用しないとされています。
「いつ」「どこで」「審議すべき議案」について出席者の過半数の賛成で続行の決議がなされ、総会を2週間以内に開催するのであれば、改めて開催手続きを必要とせず「継続会」となります。しかし、2週間を超えて開催する場合には「臨時総会」となり、改めて招集手続きをとる必要があります。

7.組合員が破産宣告を受けた場合の法定脱退の時期について
本組合の組合員が破産宣告を受け、 現在破産管財人による破産手続き中です。この場合、破産手続きが終了し清算結了した時点が法定脱退の時期になりますか?
中小企業等協同組合法第19条では組合員の解散が法定脱退事由となっており、会社法第471条、第641条では会社の解散事由として破産手続開始の決定を規定しており、破産手続開始の決定の時が法定脱退の時期となります。

8.支店又は営業所が地区内にある場合の加入資格について
本組合は県全域を組合の地区とし葬祭業を行う中小企業者で資材の共同購買事業を行っていますが、先日、県外に本社があり、県内に支店を有する同業者より加入したい旨の相談がありましたが、加入資格がありますか?
中小企業等協同組合法第8条の解釈によれば、組合が地区と定めた区域内に組合員資格に関わる事業を行う拠点がある場合には組合員資格があるとしています。つまり、本店は地区外にあるが、支店又は営業所が地区内にあり、かつそこで組合員資格に関わる事業を実施している場合には加入資格はあるといえます。

9.組合名称のローマ字による登記
平成14年11月1日より組合の名称にローマ字が使用できるとの法律改正があったようですが、組合名称中使用する「協同組合」という文字の代わりに「cooperative」又は「co-op」とすることは可能ですか?
ご質問のとおり、商業登記規則が一部改正され、組合だけでなく会社の商号(法人の名称)にローマ字を使用することができるようになりました。しかしながら組合の名称は中小企業等協同組合法第6条により「協同組合」という文字を使用しなければならないとされています。
このため、「協同組合」という文字の代わりにローマ字を使用することはできません。

10.行方不明になった組合員の出資金の処理について
本組合では行方不明になった組合員がおり現在事業も廃止していますが、連絡がとれない状況にあります。この場合の組合員の出資金はどのように処理したらよいですか?なお、同組合員の組合に対する負債はありません。
行方不明と同時に事業を廃止しているのであれば、資格喪失により脱退ということで処理することが出来ます。この場合、理事会を開催して組合員たる資格を喪失したことを確認した旨を議事録にとどめると同時に、内容証明郵便をもって持分払戻請求権が発生した旨を通知することが必要です。この通知は当該組合員の届出住所宛に発送すれば足り、通常到達すべきであったときに到達したものとみなされます。以上の手続きにより、当該組合員に持分払戻請求権が発生し、この請求権は2年間で時効により消滅します。そこで時効までは未払持分として計上し、時効成立をまってこれを雑収入に振り替えることとなります。

11.理事の死亡に伴う後任理事の選任について
本組合の理事であったAさんが死亡し、息子のBさんが相続加入の手続きにより、組合に加入しました。当組合では、Aさんの組合に対する功績が多大であったことから息子のBさんに引き続き理事をお願いしたいと考えております。この場合の手続きについての注意点を教えてください。
理事と組合の関係について中協法は、第35条の3において両者の内部関係は民法上の委任に関する規定に従うと明記しています。
従って、その関係は当然に民法第643条以下の委任の規定が適用されることになり、その間に生じる種々の問題は定款に特別の定めがない限り前述の規定に則って処理、解決していくことになります。
具体的に示しますと、その契約関係は組合とAさん個人との間に取り交わされた個人契約であり、息子Bさんの組合員としての相続による包括的な組合員としての地位の取得と役員たる地位の取得は全く別個のものであり、役員の地位は当然に承継することにはなりません。
この場合、中協法第35条3項において、理事は組合の総会において選出するとされる規定に基づき、臨時総会を開催の上、役員の補充選挙を行ってBさんを選任し、Bさんの承諾があって始めてBさんが理事となることになります。なお、その任期につきましては、定款の規定により前任者の残任期間となります。

12.組合員死亡の場合における相続人の地位
ある協同組合に加入してガス販売店を経営していた組合員Bさんが亡くなり、息子のAさんが家業を継ぐことになりました。 Aもできれば亡父のときと同様に引き続き組合に加入していたいとの意思を示しておりますが、果して、それは可能でしょうか。
組合員Bが経営する店は、会社のような法人組織にしているのか、それとも個人として経営しているのか、によって以後の法律的処理が違ってきます。
というのは、組合員は会社のような法人としても、また個人事業者である自然人としても存在し得るわけです。
@ Bの営むガス販売店が法人組織である場合
世間に、代表者が変わる会社は幾らでもありますし、その場合に、法人たる会社自体の同一性には何ら変化はありません。
従って、代表者のBが死亡してAが新たに代表者に就任したとしてもそのガス販売店の法人格自体は全く変わらないため、組合員たる資格にも影響がありません。
中協法は、第19条において組合員の法定脱退に関する規定を設け、その第1項第2号で法定脱退の事由の1つとして「死亡または解散」と規定しています。
このうち、「死亡」は、自然人についてのみ言えることですし、逆に「解散」は、法人についてのことです。よって、Aのガス販売店についても、解散したときは組合員たる資格を失いますが、先代のBが死亡してもその資格は失うことなく引き続き組合員として組合に留まることになります。
ABの営むガス販売店が個人経営である場合
この場合は、その事業を行っている自然人たるB自身が組合員であるため、前述の規定により、Bが死亡したことによって組合員としての資格も失うことになります。
この場合について、中協法では、第16条において、死亡した組合員の相続人で、組合員としての資格を有する者が組合に対して定款に定める期間内に加入の申し出をしたときは、相続開始のとき、すなわち被相続人である組合員が死亡した日に遡って組合員になったものとみなされることになっています。
また、同条の第2項によれば、相続人が数人いる場合は、本件の相続による加入は1名に限られる旨、規定されています。これは、同法第17条第4項によって、組合員が持分を共有することが禁じられているからです。