「みそ汁」がある食事パターンが骨粗鬆症予防に効果
〜カルシウム源の摂取にはバランスのとれた食事パターンが重要〜

日本人の食生活の中で、いまだ栄養所要量を満たしていないのがカルシウムです。平成4年度
の国民栄養調査によると、日本人のカルシウム平均摂取量は539mgで、所要量の89%にしか達
していません。カルシウムの欠乏は骨の密度を低くし、骨粗鬆症の大きな要因となります。



++(財)癌研究所付属病院婦人科医長 陳瑞東先生のお話++

1. 骨粗鬆症は食生活での予防が第一
 最近話題になっている骨粗鬆症は、カルシウムの不足から起こることが多い病気で、骨量が減ることが原
因になっています。骨の中のカルシウムは日々代謝していますから、体内にカルシウムが不足すると骨から
カルシウムが溶け出してしまいます。その結果、骨の密度が低くなってスカスカの状態になってしまうのが
骨粗鬆症です。
 更年期以降の女性の骨粗鬆症の治療として、女性ホルモンの投与という方法もありますが、最も根本的な
予防法は、カルシウムの多い食生活を送ることに他ならないのです。




2. 1日30品目の食品が無理なく摂れ、カルシウムも補える和食の見直しを
 骨粗鬆症の予防には、もちろん牛乳など乳製品によるカルシウム補給も考えるべきですが、それ以上に、
日本型のバランスのよい食生活を見直す必要があるでしょう。
 骨粗鬆症のみならず、がんや高血圧、高脂血症、糖尿病といった成人病を予防するには、暴飲暴食を避け
多くの食品をバランスよく食べることが大事です。いくらカルシウムをとっても、カルシウムの吸収に必要
なビタミンDが不足すれば効率よくカルシウムを摂りこむことはできません。また、加工食品に多いリンは
カルシウムの吸収を妨げます。カルシウムを十分に摂ったところで、同時に脂質やコレステロールを摂りす
ぎて肥満を招いたり、動脈硬化を起こしてしまったのでは本末転倒です。
 しかし、最近の日本人の食パターンは次第に欧米化して、肉の消費量が増え、豆や海藻、小魚の消費が減
ってきています。伝統的なカルシウム源が食卓に上りにくくなったといえるでしょう。こうした食パターン
を見直して、みそ汁のある食卓を定着させることこそ、骨粗鬆症を含め、成人病を防ぐことになるのです。
 みそ汁は毎日食べるだけにカルシウム源として大きなウェイトを占めています。みその原料である大豆そ
のものにもカルシウムが含まれますが、みそ中にもカルシウムは豊富です。さらに、みそ汁のだしをとる煮
干じゃこ、けずり節、具によく利用される豆腐、わかめ、菜っ葉類にもカルシウムが含まれています。具だ
くさんのみそ汁は、日本人にとって欠かせないカルシウム源であるといえるのです。







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